
家電量販店で数千円から購入できるようになったドローン。
今まで主流だったヘリコプタータイプに比べ、飛行時の安定性が非常に高いのが特徴です。
この飛行性能の進化は劇的で、安定した飛行と正確な操縦が可能なドローンは、空中という新しいロケーションの利用によるイノベーションを可能にしました。
ドローンによる新しいビジネスが期待されています。
安定した飛行性能の秘密はマルチローター
安定した飛行性能には、マルチローターと
4つ以上のマルチローターが基本で、回転するローターと対になるように真逆に回転するローターが配置されます。
(右回転のローターが2つなら、左回転のローターを2つ用意する)
これにより、ロータが回った時に発生する「反トルク」を逆回転するローターで相殺し、安定した飛行が可能になっています。

本体に搭載されたジャイロセンサーが機体の傾きや進んでいる方向を検知することで、各ローターの回転を調整します。
これでトルクのバランスを意図的に崩し、ドローン本体の向きを変えることで、好きな方向に移動します。
空撮、計測に使われている
安定した飛行能力を持つドローンにカメラを装着することで、
これまで莫大な費用や手続きが必要だったヘリコプターでの空撮を、
より簡単に、安価で、個人レベルでも行えるようになりました。
さらに、ヘリコプターでは出来ない低空域の飛行や、建物が密集した場所での撮影が可能になり、
GoProを始めとした高画質・小型・動きに強い、いわゆる「アクションカメラ」の登場もあって、テレビや映画などの映像業界でも使われています。
他にも、
太陽光パネルやダム、風力発電施設の空撮点検や、
被災地の物資運搬・災害状況の確認、
といった、人が立ち入ることが難しい場面で活躍しています。
荷物運搬や警備ドローンが実現するか?
AIによって自立飛行を目指す
AIや5Gの活用によって、その可能性はさらに広がります。
現在研究が取り組まれているのは「自律飛行」です。
人間の操縦者がいらない自律飛行を実現するためには、障害物回避や飛行ルートの最適化といった、安全な飛行できる仕組みが必要不可欠で、これはAIとセンサーによって実現します。
ヘリコプターを開発・製造するベル・ヘリコプター社(米)は完全自律飛行するドローン「APT」を開発しており、2019年8月には完全自律の飛行テストを成功させています。
同社は日本の大手物流企業のヤマト運輸と連携し、貨物運搬用ドローンの開発を進めています。
何十台も同時に稼働するドローン1台づつに操縦者を用意することは難しく、ドローンによる物流網の構築にはAIの自律飛行が必須と考えてもいいでしょう。
将来はモビリティ(乗り物)として活用できるか?
ドローンに人を乗せることで、車や電車に変わる新しいモビリティ(乗り物)として期待されています。
「空飛ぶクルマ」というコンセプトで様々な企業で開発が行われており、
トヨタやUberではそのコンセプトムービーが話題となりました。
現状では安全性や法律など多くの課題があり、コンセプトにとどまっていますが、そう遠くない未来で新しいモビリティとして普及する日がくるかもしれません。