シンギュラリティ・技術的特異点とは?AIが人間を超える時代は近い

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シンギュラリティ(技術的特異点)はAIの進化により、技術の発展が加速することで到達すると言われています。シンギュラリティはいつ来るのか、2045年説は本当なのか、それよりも近いのか。AIによるナノテクノロジーやVRなど他分野の展望とは。そして未来はどう変化していくのか、シンギュラリティと技術革新について説明します。

シンギュラリティ(技術的特異点)とは?

シンギュラリティとは、端的に説明すると「それが起こるより以前の時代に生きている人からは想像しづらいこと」である。

◆強いAIの誕生とシンギュラリティ

「強いAI」(SAI、Superintelligent AI)とは

  • 感情を持つAI
  • 人知を超えたAI

のような、現在のAIよりも優れた人工知能のことを指します。この強いAIの登場によって、シンギュラリティが訪れると言われています。

◆技術的特異点について

そもそも特異点とは、

特異点:規則、法則にあてはまらなくなる点。

のこといいます。特異点の存在する例として、ブラックホールがあります。アインシュタインの一般相対性理論で述べられている、重力の計算式によると、ブラックホール内には計算上、重力が無限大になる点が存在し、このような地点が特異点と呼ばれます。

「技術的」特異点の場合、技術の進歩する速さが無限大になる地点を特異点とします。

技術進歩の速さが無限大になるというのは想像しがたいですよね。メカニズムはこのようになります。

  • ①強いAI(Superintelligent AI)が誕生。
  • ②強いAIにより、さらに優れたAIが生み出される。
  • ③新たに生まれたAIが、さらなるAIの発展を実現したり、他分野の研究を進める。
  • ④あらゆる技術進歩が「加速度的に」進む。
  • ⑤技術的特異点に到達。

②や③が繰り返されることによって技術の進歩がペースアップしていき、シンギュラリティに結びつくと考えられています。現在ではまだ、AIは人間が開発するものであり、他分野の研究においても基本的に人間により行われています。強いAIによってこの常識が覆される時、シンギュラリティが非常に現実的なものとなるでしょう。

まだこの世には強いAIなるものは存在しません。優れた機械学習の手法として用いられているディープラーニングでは、人間の脳ほどの複雑な計算を行うことができず、AIは現状で人間を超えることができないという意見もあります。では、強いAIは果たして生まれるのか、シンギュラリティにはいつ到達するのか、これらのことについて説いた有力な著名人を紹介します。

シンギュラリティはいつ?

ヴァーナー・ヴィンジ : wikipedia

◆2023年説 SF作家 ヴァーナー・ヴィンジ

アメリカの数学者であり、SF作家でもあるヴァーナー・ヴィンジ(Vernor Vinge)は、1993年に出版した自身の著書『The Coming Technological Singularity: How to Survive in the Post-Human Era』において、「30年以内に、我々は人知を超えた知能(superhuman intelligence)を作ることができるようになるだろう。その後まもなく、人類の歴史は終わりを迎える。」と述べています。

ここで述べた2023年とは、この著書の出版から30年後のことを指していますが、ヴァーナー・ヴィンジの考えを正しく反映すれば、「2023年までに強いAIが生まれる。」と言えます。強いAIが生まれてから、シンギュラリティが起こるまでは時間差がありますが、近いうちに人類にとって大きな技術革新がある可能性は高いのかも知れません。また、「人類の歴史は終わる」という言及。ヴァーナー・ヴィンジはシンギュラリティの到達を信じるとともに、それを恐れている立場のようです。

◆最有力の2045年説 Google レイ・カーツワイル

レイ・カーツワイル : HP

人工知能分野における第一人者であるGoogleのレイモンド・カーツワイル(Raymond Kurzweil)は、2005年にシンギュラリティに関する自身の著書『The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology』において、シンギュラリティがいつ訪れるかを説いている。

レイ・カーツワイルの「The Singularity Is Near」を簡単にまとめた動画はこちら! 是非ご視聴ください

◆シンギュラリティは近い

レイ・カーツワイルは2029年と2045年に技術革新において重要な局面が訪れるとしています。

まず、2029年にはAIの演算能力が人間をはるかに上回るという予想。その処理能力は人間の100億倍。人類の脳を超えたAI、すなわち強いAIと呼べるような存在が2029年に生まれるということです。

そして2045年、これこそがレイ・カーツワイルの予想する、シンギュラリティの訪れる年です。彼の著書が出版されてからは15年ほど経っていますが、現在もその予想は変わっていないようです。この2045年こそがまさに現在最も有力とされている予想です。なぜここまで2045年という説が注目されるのか。その信憑性の高さは、レイ・カーツワイルが著書の中で掲げた数々の予想がこれまで当たっているという事実に由来します。

◆レイ・カーツワイルの未来予測

レイ・カーツワイルは自身の過去の著書で予測した将来の技術変化をこれまで的中させてきています。これが、シンギュラリティの2045年説の有力とされる理由です。ではレイ・カーツワイルがどのような予測をしたのか、まず現在までの予測を挙げます。

コンピュータやディスプレイの小型化

薄型ディスプレイや小型化PC、スマホなどが開発され、2010年代に実現されました。

通信機器が至る所に埋め込まれる

電話回線からインターネットの時代になり、現在ではあらゆる場所でWi-Fiを利用できるようになりました。

家庭用ロボットの普及

万能な家事ロボットはまだありませんが、お掃除ロボットなどの形で幅広い家庭にロボットが普及したのは事実です。

リアルな三次元ホログラフィーディスプレイの登場

VRやARの技術が開発され、新たな技術として注目を集めています。主に娯楽としてゲームなどの分野で扱われていますが、今後はより社会的な形でも普及していくことが予想されます。

学校の生徒が地理的に離れた位置で議論できるようになる

コロナウイルスの影響により外出や密集ができなくなった結果、多くの学校ではオンライン授業が導入されました。その結果、オンラインで顔を見せて意見を共有するという行為は人々にとって身近なものとなりました。

今後大きく発展を遂げると予想される技術にはこのようなものがあります。

ナノテクノロジーの発展

人体の血液中を流れることができるサイズのナノボットが開発され、病原体やがん細胞を破壊できるようになります。

仮想世界に社会ができる

ヘッドマウントディスプレイを使用せず、脳と機械を直接つなぐことで、仮想世界に行けるようになり、そこに新たな社会が構築されます。

人体バージョン2.0

人体のあらゆる機能がプログラムによって管理され、食事や臓器などが必要なくなります。

どれも今の私たちには想像し難いことですが、すでに研究が始められており、未来では当たり前になっているのかもしれません。

AIに代わる仕事、代わらない仕事、増える仕事

AIによって多くの仕事がなくなると言われています。最初のターゲットとなる職種のほとんどは単純作業です。しかし、活性化する仕事もあります。それらは比較的高度な知識や技術を要するものです。

◆AIに代わる仕事

窓口業務近い将来、ほとんどのケースで機械が応答できるようになるでしょう。
販売業レジ打ちなどはセルフレジが導入され、すでに淘汰されつつあります。
将来的にはそもそも人が店に出向かなくなる可能性も高いです。
交通機関や運送業タクシーやトラックの運転手などは自動運転の普及により
AIにとって代わられる代表的な例としてよく挙げられます。
すでにテスラ社の車などには自動運転機能が実装されているものもあります。
清掃員AIの発達により、ロボットが代わる仕事と言われています。

◆AIに代わられない仕事

アート関連絵画や音楽、ゲームなど、アートの分野が大きく関わる分野は
AIが代行するのが難しいと言われています。
総じて、何かを生み出すような仕事はこれからも人間が担うだろうとされています。
エンタメテレビに出る芸人が皆、AIやロボットに代わられていたら恐ろしいですね。
エンタメ業界も人が担っていく仕事と言われています。
医者医療用のロボットが普及していたり、AIが大きく関わる分野ではありますが、
医者はいなくならないだろうと言われています。
高度な技術や知識が必要だからという理由だけでなく、
責任など倫理的な観点での側面も強いです。

◆AIの発達により増える仕事

IT関連ソフトウェアの分野ではまさに新たな仕事が生まれていくでしょう。
遺伝子研究関連ナノテクノロジーなど、AIの発展により研究が進む分野の一つとされて
いるためです。
福祉関連医療が発達することで、高齢者社会がさらに加速すると言われています。
娯楽関連技術革新により生活が豊かになり、娯楽への様々な需要が大きくなると
予想されています。

◆生活を続けていくためにはどうすればいい?

・AIとBI

AIの進化によって世の中に便利なものが増えていく中、ベーシックインカム(BI)という制度が注目されています。ベーシックインカムとは、人が生活するための最低限の金銭的保障を国が行うという制度です。AIにより生活が楽になるかと思いきや、仕事が奪われ、利益を被るのはAIを導入した側です。ベーシックインカムは国民全体が技術進化で得られた利益を享受できるようにするための制度ですが、すぐに導入される保証はありません。

・単純作業が減っていく→高度な仕事が増えていく

ベーシックインカム制度の導入が実現する前に生活が困窮してしまう可能性が大いにあります。そのため、ひとりひとりが時代の流れについていくための準備が必要です。これからは人間の担う仕事がAIでは代わることのできない、高度なものになっていきます。職を失わないためには、個々人が普段から様々な分野に興味を持ち、あらかじめ知識面や技術面で専門性を高めていくことが大事です。

AIの進化による人類への危機はあるのか

「AIは人類の将来を脅かす存在である」と危険視する著名人もいます。

イーロン・マスク:wikipedia

◆テスラCEO イーロン・マスク

テスラは自動運転技術を搭載した自動車を開発している企業です。そのCEOであるイーロン・マスクはこのように述べています。

「AIはまもなく人間と同等の知能を持ち、人類の存続を脅かす存在になるだろう。」

イーロン・マスクは高度なAIの開発を規制すべきだとの意見を表明しており、なんとその規制対象には彼自身の会社であるテスラも含まれるとしています。AI事業の最先端を行く企業の代表者が唱えていることですので、説得力もあります。

スティーブン・ホーキング

ホーキング博士 : HP

天才科学者とも称される、物理学者のホーキング博士は「AIの登場は人類文明の歴史上、最悪の出来事となるだろう。」と2017年のWebサミットで述べており、AIの開発に大きな危機感を示しています。これは、2018年の3月18日に亡くなったホーキング博士が未来の予言として遺した考察の一つとして注目されました。

◆人間も進化し、AIを支配下におけるようになる

シンギュラリティの2045年説を提唱するレイ・カーツワイルは、AIが現在の人間の知能を超える頃、同時に人間の知能も機械によって進化しているとの予測を示しています。彼自身、AIが反乱を起こす可能性は低いと考えていますが、仮に起きたとしても、さらに優れた人間が統制できると述べています。さらに優れた人間とは「ポストヒューマン」と呼ばれる存在です。ポストヒューマンとは、いまの人間よりも知能的に優れた新たな人類のことで、人間の脳にAIのインターフェースが埋め込まれることで誕生すると言われています。

孫正義 AIの可能性を信じる日本の経営者

孫正義 : wikipedia

ソフトバンクの経営者である孫正義はAIが人間の知能を超えると唱えている著名人の一人です。彼は人工知能の進化がこれからも加速していくと述べています。例えば、将来ロボットは10000のIQを持ち、大量生産され世界に溢れるとの予想をしています。

孫正義はソフトバンク・ビジョン・ファンドという海外のIT関連銘柄のファンドを立ち上げており、1000億ドル(10兆円以上)の投資をしています。このファンドは世界的にみても巨大な規模です。

一部では、このソフトバンク・ビジョン・ファンドの投資先は方向性がバラバラだという反論があります。これに対し、孫正義はこれらの投資先は全て将来的に繋がっており、これを「AI群戦略」であるとしています。

この記事でも述べている通り、AIの進化により今後あらゆる分野の研究が促進され、さまざまな技術が連鎖的に進化していきます。孫正義は10年、20年、それ以降の未来までをも予測し大規模な投資を行っているのでしょう。

シンギュラリティは近づいている

時代によって速さが異なれど、技術の進化は続いています。2012年、ディープラーニングによってAIの世界に技術革新が起こり、技術進化は加速しつつあります。そんな中、シンギュラリティは2045年より早まるという意見もあります。この記事において述べたことの中で考えられるのは、AIが人知を超える瞬間、そしてシンギュラリティに到達する瞬間は間違いなく近づきつつあるということです。

AIのブームにある現代ですが、次のブームはであると言われています。つまり、脳を人工的に再現するということです。例えば、神経並みの低電圧で情報をやり取りする「ニューロン回路」など、人間の脳を模倣するための研究が最先端の分野で行われています。

ナノテクノロジーや生体工学の研究がAIの進化と共に進み、その先にあるのはSFにあるようなサイボーグの世界です。人を超えた人間、「ポストヒューマン」となるのは人間であるとは限りません。機械が人間の立場を代わってさらに優れたポジションに立つ可能性もあるということです。あらゆる分野が融合し、無機物で造られていたものが有機物によって造られるようになる。これがこの先の展望です。

SF作家のヴァーナー・ヴィンジは『The Coming Technological Singularity』(1993)において

「シンギュラリティは古き形式が捨て去られ、新たな現実世界が構築される瞬間だ。シンギュラリティが起こるまで、人間の関心は高まり続けていくであろう。しかしシンギュラリティに達してもなお、人々の疑問は拭いきれないであろう。」と述べています。

シンギュラリティが到達したらそこで全て終わりというわけではありません。

シンギュラリティはいつ来るのか、そしてその先の世界はどうなってしまうのか。想像もつかない未来に私たちは、期待と不安を入り交じらせることしかできないのかもしれません。

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