最新VR技術が医療分野へ与える影響と活用事例

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FUNDAMENTAL SURGERY
(c)FUNDAMENTAL SURGERY

AI, ICT(Information and Communication Technology 情報通信技術), VAR(仮想現実・拡張現実)をはじめとするテクノロジーの進展は目覚ましいものがあります。その波は医療分野にも広がっていることを皆さんはご存知でしょうか?

既にテクノロジー技術は先進医療分野にも普及が始まっています。今後どのように医療業界に変革をもたらすのでしょうか。また、技術革新によって従来の医療の常識や医師たちの役割はどのように変わっていくのでしょうか。

XR技術についてはこちらから

目次

VR 医療の現状

現在、既に医療の現場ではVRが導入されているところもあり、今後さらに活用が期待されています。そして、VR技術の導入には多くのメリットがあるようです。

vr education

医療教育現場

◼︎手術トレーニングのシミュレーション

VRゲームなどを見てもわかるように、VRはその世界に入り込めるというメリットがあります。その没入感や自分の動きに連動する仮想世界でのトレーニングの効果は、とても高いとされています。実際に手術に携わることができない段階でも、VRを用いることでよりリアルに近い学習ができます。それは、手術を横で眺めて眺めて得られる情報よりも遥かに多くの知識を得られるでしょう。

◼︎人体構造の学習

通常はご献体(医学および歯学の発展のために、遺族などが故人の意思に従って遺体を提供したもの)を使って人体構造や解剖学などについて学びます。

今後、人体構造の勉強においてもVRを使うことでより理解を深めることが可能になるでしょう。また、同じように患者への説明。つまりインフォームド・コンセントにもとても相性が良いでしょう。

※インフォームドコンセントとは、 医師が説明をし、同意を得ることで 、医療行為や治験などの対象者が、治療や臨床試験・治験の内容についてよく説明を受け十分理解した上で、対象者が自らの自由意志に基づいて医療従事者と方針において合意すること。

VR 医療の活用事例

♢FUNDAMENTAL SURGERY

【FUNDAMENTAL SURGERY】外科手術トレーニング用のシュミレーションシステムです。VRゴーグルを装着し、触覚フィードバック対応のコントローラーを操作して疑似手術を行うシステムで、実際に執刀する際の、映像・音や感触までリアルに体験できる代物です。

医学生の手術練習や外科医のリハーサルに使用する想定をしており、提供元のファンダメンタルVRは「外科手術用のフライト・シュミレーター」と称しています。

以前から類似のシステムは存在しており多くのメリットがあることも認められているものの、極めて高価で導入が難かしかったようです。

これに対し【FUNDAMENTAL SURGERY】は特別なハードコアを使用せず一般的なPCとVRゴーグルでシステムを構築しているため非常に安価だとか!(ざっくり70万程度) 実際に必要となるのはOculus RiftなどのVRヘッドセットと、手術用の器具操作をシミュレーションするためのハプティック(触覚)デバイス、そして専用のアプリのみです。

実際の手術で発生する予期しない事態なども再現することが可能で、たとえば想定外の部位からの出血や、患者の容態の急変なども再現できるとのこと。また、VR内で行った手術のシミュレーションを評価することも可能で、たとえば手術のテクニックの正確さや、患者にどのような影響をもたらしたかをフィードバックすることができます。

間違いなく今後の医師の育成や技術向上に多大な貢献をするでしょう!!

source:Fundamental Surgery

♢ GuRu VR

こちらは日本での活用実例です。「医療、手術研修VR 」株式会社ジョリーグッドとパートナー企業として、ジョンソンエンドジョンソンが共同で開発をした手術研修用のVRです。
名医の手術、医療技術をVRで撮影して、それをVRの動画研修として見せることで、体験できる手術トレーニングが実施できるサービス。

最高の医療技術を遠隔地や世界へ届けるを掲げており、今後の医療分野の進歩が期待されています。

実際の治療現場は立会うことができる人数が限られており、名医の技術を学べる機会が少ないという課題を解決できます。名医が監修する解説により、貴重な手術のポイントを学ぶことができます。

guru vr
Image:GuRu VR

♢幻肢痛の緩和

幻肢痛とは、腕や足を不慮の事故や手術によって切断してしまった人に起こる痛み。失ってしまったはずの腕や足がそこにあるように感じて、そこが激しい痛みに襲われるという症状です。

引用:東京大学HP

“発症の要因は解明されていませんが、実際に手足を失っていても、患者さんの脳内では幻肢を動かすイメージ(運動表象)を作ることができる方がいます。しかし、幻肢痛を感じる患者さんの多くは、このイメージを脳内で作れず、脳内で幻肢を動かすことができないために幻肢痛が生じると考えられています。また、従来の治療では十分にこの痛みを軽減することができませんでした。

そこで研究グループが、VRを用いて幻肢が自分の意思で動かしているように感じる点を利用して、痛みが和らぐか検証をしました。その結果VR使用により、痛みの改善に効果があることが分かったようです

Source:Michihiro Osumi, Akimichi Ichinose, Masahiko Sumitani, Naoki Wake, Yuko Sano, Arito Yozu, Shin-ichiro Kumagaya, Yasuo Kuniyoshi, Shu Morioka, “Restoring movement representation and alleviating phantom limb pain through short-term neurorehabilitation with a virtual reality system”, European Journal of Pain Online Edition: 2016/07/05 (Japan time), doi:10.1002/ejp.910. 論文

♢リハビリ 歩行訓練

アメリカのデューク大学ではWalk again Projectとして、VRをもちいての歩行訓練が行われています。歩行訓練には、自身では脊髄損傷により自力歩行のできない患者さんです。

人は、ベッドや車椅子に長時間拘束されている状態が続くことで、足の制御の仕方を忘れてしまうようです。そこでVRを用いることで、足の動かし方や地面に触れた時や伸ばした時の感覚を視覚的に理解できるようになります。その結果、患者はロボットの足で歩くことができ、足を実際に動かす事が出来るようになった患者もいました。

VRトレーニングの視覚的なトレーニングはとても有効だったようですが、触覚に関する訓練も重要で、視覚的要素だけでない訓練も重要のようです。

source:quarez

Source:デューク大学HP

♢イギリスでも始まったVR医療トレーニング

VR×医療はアメリカを中心とした発展を遂げておりますが、イギリスでもVR医療の本格的な導入が検討されています。イギリスのOMS (Oxford Medical Simulation社)は医療従事者向けにVRトレーニングを提供しています。

Oxford Medical Simulation英国の国民保健サービス(NHS)に支援されており、Novo Nordisk社から資金を得ています。

また、OMSでは没入型の看護シナリオを構築しており、VR病棟と緊急治療室では、実際の生活でできることなら何でもできるようです。トレーニングの各シナリオの後にはフィードバックと詳細なパフォーマンス分析も行われ、最適化されていきます。

OMS
Source:OMS

VR×医療の未来

VR meditation

今回紹介させていただいた 様々なVRの活用事例は、ほんの一部に過ぎません。今後の発展が大いに期待されており、加速していく領域であることは間違いありません。

では、現状、実際の医療現場でVR技術を活かすことはできるのでしょうか?

現在のアメリカでは医療ロボットが普及しており、医師が遠隔で操作することで執刀をロボットに任せることが可能ですが、1ミリの誤差も許されない世界では手術事故が増加の一途を辿っているようです。。。実際に人体に触っている感覚もないことも原因に繋がっているのだとか。

そこでVRの登場が精密さを加速させる鍵となりそうです。既にシュミレーターとしては触覚まで再現ができており、2Dだった医療ロボの映像も3D投影可能です。しかし今大きく足りていない部分は伝達速度が考えられますが、5Gへと世の中は移行していきます。4Gよりスピーディーに情報を処理伝達することは言うまでもありません。

ゲームの世界やエンターテイメントの世界で主に活躍しているVRですが、今後は人類の命を救うのになくてはならない技術になるでしょう。

ですが、実際の普及には既存の医療(法律や規制)をどのように変えていけるのかというのも、重要な問題の一つです。VRの手術中での故障や、AIの選択ミスなどが起こった際の責任問題など様々な懸念事項があるようです。

今後更に様々な領域で、技術の発展が期待されています。それに伴い、時代や技術に合わせた法や規制も同時に変化せざるを得ないでしょう。

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